社内ポータルサイトはもう古い?現代の組織に必要な「ストック型」プラットフォーム
「情報が見つからない」という日常的な悲鳴
「あのマニュアル、どこにあったっけ?」
「先月の会議で決まったこと、誰か覚えてる?」
「新しく入った人に、これ説明するの何回目だろう…」
DX推進が叫ばれる現代。多くの企業がSlackやTeamsなどの社内SNSを導入し、コミュニケーションのスピードは確かに上がりました。
しかし、新たな問題が浮上しています。
「情報が流れて、消えていく」
リアルタイムのチャットは便利ですが、過去の情報を探すのは至難の業。スクロールしても見つからない。検索しても出てこない。結局、誰かに聞くしかない——。
一方で、昔ながらの社内ポータルサイトはどうでしょうか。
「誰も見ていない」 「情報が古いまま放置されている」 「更新するのが面倒で、結局使われない」
これが、多くの企業が直面している現実です。
Slack運用を頑張っても情報は流れていく。社内ポータルを整備しても誰も見ない。情報共有ツールを増やしても、ツール疲れが加速するだけ——。
この記事では、この問題を根本から解決する「ストック型プラットフォーム」という考え方をお伝えします。
「フロー」と「ストック」——情報には2種類ある
あなたの組織で扱う情報を思い浮かべてください。
その情報は、大きく2種類に分けられます。
フロー型情報
「今日のミーティング、15時からに変更です」 「このタスク、完了しました」 「お疲れ様です、今から退勤します」
これらはフロー型情報です。
特徴は以下の通り:
- 即時性が重要(今すぐ伝えたい)
- 鮮度が落ちると価値がなくなる(明日には意味がない)
- 一度読めば十分(後から見返す必要がない)
SlackやTeams、LINEなどの社内SNSは、このフロー型情報を扱うのに最適化されています。
ストック型情報
「新入社員向けのオンボーディングマニュアル」 「営業トークのベストプラクティス集」 「過去のプロジェクトで学んだ教訓」
これらはストック型情報です。
特徴は以下の通り:
- 時間が経っても価値が残る(何度でも参照される)
- 蓄積されるほど価値が高まる(ナレッジベースになる)
- 後から探せることが重要(必要な時に見つかる)
従来の社内ポータルサイトは、本来このストック型情報を扱うために存在していました。
しかし、ここに問題があります。
フロー型に最適化されたツールでストック型情報を扱おうとしている。あるいは、使いにくいポータルサイトにストック型情報を押し込もうとしている。
この「ミスマッチ」が、情報共有の失敗を生んでいるのです。
なぜ従来の社内ポータルは「使われない」のか
DX推進が進む以前から、多くの企業は社内ポータルサイトを持っていました。
イントラネット、社内Wiki、ナレッジベース——呼び方は様々ですが、目的は同じ。「社内の情報を集約し、必要な時に参照できるようにする」というものです。
しかし実態はどうでしょうか。
問題1:更新が面倒すぎる
社内ポータルの多くは、専門的な知識がないと更新できません。
- HTMLの知識が必要
- 専用のCMSへのログインが必要
- 承認フローを通さなければならない
- IT部門に依頼しなければならない
「ちょっとした情報を追加したい」だけなのに、ここまでのハードルがあると、誰も更新しなくなります。
問題2:情報が陳腐化する
更新されない情報は、どんどん古くなります。
「このマニュアル、いつの情報?」 「この手順、今も有効なの?」
古い情報と新しい情報が混在していると、どれを信じていいかわからなくなります。結果として、「ポータルの情報は信用できない」という認識が広まり、誰も見なくなります。
問題3:検索しても見つからない
情報を蓄積しても、見つけられなければ意味がありません。
- カテゴリ分けが複雑すぎる
- 検索精度が低い
- ファイル名が分かりにくい
「ポータルを探すより、詳しい人に聞いた方が早い」
そう思われた時点で、ポータルの存在意義は失われています。
問題4:コミュニケーションと切り離されている
従来のポータルは「静的な情報置き場」です。
質問したい時、コメントしたい時、議論したい時——別のツールを使わなければなりません。
情報とコミュニケーションが分断されていると、「このドキュメントについて聞きたいことがあるけど、どこで聞けばいいんだろう」という状況が生まれます。
従来の社内ポータルの問題点
現代の組織に必要な「ストック型プラットフォーム」とは
では、現代の組織に必要な情報共有ツールとは、どのようなものでしょうか。
それは、「フロー」と「ストック」を統合したプラットフォームです。
特徴1:コミュニケーションの中から自然にストックが生まれる
日々のSlackでのやり取り、会議での議論、チャットでの質疑応答——これらのフロー型情報の中には、後から参照すべき価値ある情報が含まれています。
優れたストック型プラットフォームは、この「流れていく情報」を簡単にストックに変換できます。
「この回答、よくある質問だからまとめておこう」 「今日の会議で決まったこと、ナレッジとして残しておこう」
ワンクリックで、フローがストックに変わる。この手軽さが重要です。
特徴2:誰でも簡単に更新できる
専門知識不要。承認フロー不要。
テキストを書くだけで、すぐに公開できる。
更新のハードルを限りなく下げることで、情報の鮮度が保たれます。
特徴3:情報に「文脈」がつく
単なるドキュメントではなく、「誰が」「いつ」「どのような背景で」書いたのかがわかる。
関連する議論のリンクがついている。コメントや質問がその場でできる。
情報が孤立せず、文脈の中で生きている状態です。
特徴4:必要な情報が「見つかる」
優れた検索機能は当然として、「自分に関係ある情報が自動で届く」仕組みも重要です。
フォローしているトピック、所属しているチーム、過去に参照した情報——これらをもとに、パーソナライズされた情報が表示される。
「探さなくても見つかる」状態が理想です。
特徴5:コミュニケーションと一体化している
ドキュメントにコメントできる。質問できる。議論できる。
情報とコミュニケーションが同じ場所にあることで、「この情報について話したい」時の摩擦がなくなります。
「ストック型プラットフォーム」を実現する3つのアプローチ
では、具体的にどうすれば「ストック型プラットフォーム」を実現できるのでしょうか。
3つのアプローチをご紹介します。
アプローチ1:Slackを「ストック」としても活用する
Slack運用を工夫することで、フローとストックの両方を扱えるようになります。
具体的な方法:
1. チャンネルの設計を見直す
#flow-プレフィックス:日々のやり取り用(情報は流れていい)#stock-プレフィックス:ナレッジ蓄積用(後から参照する)#decision-プレフィックス:意思決定の記録用
2. ピン留めとブックマークを活用する
重要な情報はピン留め。個人的に参照したい情報はブックマーク。これを徹底するだけでも、情報の発見可能性は上がります。
3. Canvas機能を活用する
Slackのキャンバス機能を使えば、チャンネル内にドキュメントを作成できます。フローの中にストックを埋め込む形で、両者を統合できます。
注意点:
Slackはあくまでフロー型に最適化されたツールです。大量のストック情報を扱うには限界があります。チームの規模が大きくなるほど、専用のナレッジベースが必要になるでしょう。
アプローチ2:Notionなどのドキュメントツールを活用する
Notion、Confluence、Kibela——これらのドキュメントツールは、ストック型情報の管理に優れています。
具体的な方法:
1. ドキュメントとデータベースを組み合わせる
単なる文書の羅列ではなく、データベース形式で情報を管理。タグ付け、カテゴリ分け、更新日時の追跡が容易になります。
2. テンプレートを整備する
「会議議事録テンプレート」「プロジェクト振り返りテンプレート」など、よく使うフォーマットをテンプレート化。入力のハードルを下げ、情報の均質化を図ります。
3. Slackと連携する
SlackとNotionを連携させ、Slackでの議論をワンクリックでNotionに保存。フローからストックへの変換を簡単にします。
注意点:
ドキュメントツールは「書く」「読む」には優れていますが、「コミュニケーション」の機能は弱い場合が多いです。コメント機能があっても、活発な議論には向いていないことがあります。
アプローチ3:コミュニケーションとナレッジを統合したプラットフォームを導入する
フロー型とストック型を最初から統合することを目的として設計されたツールを選ぶアプローチです。
Seediaのようなプラットフォームでは、日々のコミュニケーション(感謝や称賛の共有)の中から、自然とナレッジが蓄積されていく仕組みを提供しています。
具体的なメリット:
1. 日常のやり取りがそのままナレッジになる
「Aさんがこの問題をこう解決した」という情報が、特別な作業なしに蓄積される。成功事例、ベストプラクティス、よくある質問への回答——これらが自然に溜まっていきます。
2. 情報に「人」がつく
誰がどんな知見を持っているかが可視化される。「この分野に詳しい人は誰?」という時、過去の投稿から適切な人を見つけられます。
3. 検索と推薦の両方で情報にアクセスできる
検索して探すだけでなく、「あなたに関係ありそうな情報」が自動で届く。情報を「取りに行く」だけでなく「受け取る」ことができます。
注意点:
新しいツールを導入する際は、ツール疲れを招かないよう、既存ツールとの棲み分けを明確にする必要があります。「また新しいツール?」という抵抗を減らすため、段階的な導入と丁寧な説明が求められます。
ストック型プラットフォームの3つのアプローチ
ストック型プラットフォーム導入を成功させる5つのポイント
どのアプローチを選ぶにしても、成功させるためのポイントは共通しています。
ポイント1:「何をストックするか」を明確にする
すべての情報をストックする必要はありません。
ストックすべき情報:
- 繰り返し参照される情報(マニュアル、手順書)
- 意思決定の記録(なぜその決断をしたか)
- 成功・失敗の事例(学びとして残す価値があるもの)
- よくある質問への回答(FAQ)
ストック不要な情報:
- 一時的な連絡(今日のランチどこ行く?)
- すぐに古くなる情報(今週の在席状況)
- 個人的なメモ(自分しか見ないもの)
この線引きを組織で共有することが重要です。
ポイント2:「ストックする」ハードルを下げる
情報をストックする作業が面倒だと、誰もやりません。
- ワンクリックでストックに変換
- テンプレートで入力を簡略化
- 自動でタグ付け・分類
「気づいたらストックされていた」くらいの手軽さが理想です。
ポイント3:「探す」より「届く」を重視する
良い情報があっても、見つけられなければ意味がありません。
- 優れた検索機能は必須
- 加えて、「あなたに関係ある情報」を通知で届ける
- 定期的なダイジェスト配信で見落としを防ぐ
「探さなくても必要な情報が届く」状態を目指しましょう。
ポイント4:「更新」を仕組み化する
情報は生き物です。定期的に更新しなければ、腐っていきます。
- 更新責任者を明確にする
- 更新のリマインドを自動化する
- 「この情報は古いかも?」というフラグを立てられるようにする
「古い情報が残り続けない」仕組みを作りましょう。
ポイント5:小さく始めて成功体験を作る
DX推進でありがちな失敗は、「全社一斉導入」です。
まずは一つのチーム、一つのプロジェクトで試す。そこで成功体験を作り、「これは便利だ」という声を集める。その声を元に、徐々に範囲を広げていく。
この「小さく始める」アプローチが、ツール疲れを防ぎつつ、着実に定着させるコツです。
こんな方に「ストック型プラットフォーム」は特に有効です
- 社内SNSを導入したものの、情報が流れて困っている方
- 社内ポータルが形骸化して、誰も見ていない状態の組織
- Slack運用を改善したいが、どうすればいいかわからない方
- DX推進担当として、情報共有の課題を解決したい方
- 情報共有ツールを導入しても、ツール疲れを招いてしまった経験がある方
- 新しいメンバーへの引き継ぎに毎回苦労している組織
- 「同じ質問に何度も答えている」状況を解消したい方
ストック型プラットフォームは、「情報を資産に変える」ためのインフラです。
導入すれば、これまで流れていた情報が蓄積され、組織の知恵として活用できるようになります。
まとめ:情報を「流す」時代から「貯める」時代へ
まとめ:ストック型プラットフォームで組織の知恵を資産に
この記事では、現代の組織に必要な「ストック型プラットフォーム」についてお伝えしました。
情報には「フロー」と「ストック」の2種類がある
- フロー型:即時性重視、一度読めば十分
- ストック型:時間が経っても価値が残る、何度も参照される
従来の社内ポータルが使われない理由
- 更新が面倒
- 情報が陳腐化
- 検索しても見つからない
- コミュニケーションと切り離されている
現代の組織に必要なストック型プラットフォームの特徴
- コミュニケーションから自然にストックが生まれる
- 誰でも簡単に更新できる
- 情報に文脈がつく
- 必要な情報が見つかる・届く
- コミュニケーションと一体化
実現のための3つのアプローチ
- Slackを「ストック」としても活用する
- Notionなどのドキュメントツールを活用する
- コミュニケーションとナレッジを統合したプラットフォームを導入する
成功させる5つのポイント
- 何をストックするか明確にする
- ストックするハードルを下げる
- 探すより届くを重視する
- 更新を仕組み化する
- 小さく始めて成功体験を作る
社内SNSや情報共有ツールは、うまく使えば組織の生産性を大きく向上させます。しかし、「情報が流れて消えていく」状態では、その恩恵を十分に受けることはできません。
DX推進の本質は、ツールを入れることではなく、「情報を資産に変えること」です。
フロー型の便利さを活かしながら、ストック型の価値を最大化する——この両立ができる組織が、これからの時代を勝ち抜いていくでしょう。
まずは、自社の情報がどれだけ「ストック」されているかを振り返ってみてください。
「先週の会議で決まったことは、どこを見ればわかりますか?」 「新しいメンバーに業務を教える時、どこを案内しますか?」 「過去に似たような問題を解決した事例は、どうやって探しますか?」
これらの問いに明確に答えられないなら、「ストック型プラットフォーム」への移行を検討する価値があります。
情報を「流す」時代から「貯める」時代へ。
その第一歩を、今日から踏み出してみてはいかがでしょうか。