社内コミュニケーション活性化のために総務ができること・ツールができること

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社内コミュニケーション活性化のために総務ができること・ツールができること社内コミュニケーション活性化のために総務ができること・ツールができること

「社内が静かすぎる」——総務が直面するコミュニケーション不足の現実

「社員同士の会話が減っている気がする」「部署をまたいだ交流がほぼなくなった」——リモートワークテレワークの導入後、こうした声を耳にする総務担当者が増えています。

コミュニケーション不足は、現場からの明確なクレームとして上がってくることは稀です。しかし、エンゲージメント調査のスコアが少しずつ下がり、離職面談で「孤立感があった」という言葉が繰り返され、新入社員が「誰に聞けばいいかわからない」と立ち止まる——気づいたときには、組織の土台がじわじわと崩れているのです。

特にテレワークが常態化した職場では、かつてオフィスで自然に生まれていた雑談が消失しています。「おはようございます」の挨拶すらチャットの定型文になり、業務に直接関係のない会話をする機会がゼロになったという社員も少なくありません。

総務部門は、オフィス環境や社内制度を通じて組織の「働く環境」を支える存在です。だからこそ、コミュニケーション不足という目に見えにくい課題に対して、最も早く、最も広く手を打てるポジションにいます。しかし、「何から始めればいいのか」「施策を打っても効果が見えない」——そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

「イベントを開けば解決する」という誤解——総務が陥りやすい落とし穴

コミュニケーション不足に危機感を抱いた総務が最初に取り組みがちなのは、こうした施策です。

  • 全社懇親会やオンライン飲み会の企画
  • 部署横断のレクリエーションイベント
  • 「雑談タイム」の制度化

もちろん、こうした施策に意味がないわけではありません。しかし、単発のイベントでは根本的なコミュニケーション不足は解消しないのが現実です。

年に数回の懇親会で生まれた会話は、翌週には途切れます。雑談タイムを制度として設けても、「何を話せばいいかわからない」「業務が忙しくて参加できない」と形骸化するケースは少なくありません。リモートワーク環境では、画面越しに無理やり盛り上がろうとすること自体がストレスになることすらあります。

問題の本質は、コミュニケーションが「イベント」として切り出されてしまうことにあります。オフィスにいた頃、雑談は「イベント」ではなく日常の一部でした。席を立ったついでに、書類を渡しに行ったついでに、自然と生まれていたものです。

つまり総務に求められているのは、「イベントを企画すること」ではなく、日常の中にコミュニケーションが自然に生まれる仕組みを埋め込むこと。そしてそのためには、「総務ができること」と「ツールができること」を分けて考え、組み合わせる視点が不可欠です。

「制度設計」×「ツール活用」——総務が持つべき2つの武器

制度設計×ツール活用の両輪制度設計×ツール活用の両輪

社内のコミュニケーション不足を解消するために、総務が取るべきアプローチは大きく2つに分かれます。

1つ目は、「制度設計」——人が動きやすい仕組みをつくること。これは総務の本来の強みです。就業規則や福利厚生、オフィスレイアウト、会議体の設計といった「場」と「ルール」を整えることで、コミュニケーションのハードルを下げます。

2つ目は、「ツール活用」——テクノロジーの力で"きっかけ"を自動的に生み出すことリモートワーク環境では、物理的な「偶然の接点」がなくなるため、デジタルツールで意図的にきっかけを作る必要があります。

この2つは対立するものではなく、両輪で機能させてこそ効果を発揮します。制度だけでは運用が続かず、ツールだけでは血の通ったコミュニケーションにならない。総務が制度で「やっていいこと」の枠を整え、ツールが「きっかけ」を自動で届ける——この組み合わせが、テレワーク時代のコミュニケーション活性化の鍵です。

では、具体的にどのような施策があるのか。まずは総務が主導できる制度設計から見ていきましょう。

総務が主導できるコミュニケーション活性化施策

施策1:「雑談OK」を公式に認める——心理的安全性の制度化

意外に思われるかもしれませんが、雑談が減った最大の理由のひとつは「雑談していいのか分からない」という心理的ハードルです。

テレワークでは、業務時間中にチャットで雑談をすると「サボっているように見えるのでは」と不安を感じる社員がいます。特に評価制度が成果主義に移行した企業では、「雑談=非生産的」という暗黙の空気が蔓延しがちです。

総務ができるのは、「雑談は業務の一部である」という組織のスタンスを明文化することです。

  • 社内ガイドラインに「業務時間中の短い雑談はコミュニケーションの一環として推奨する」と明記
  • 経営層のメッセージとして「雑談を大切にする文化」を発信
  • リモートワークポリシーに「1日15分のカジュアルコミュニケーション」を推奨項目として追加

これだけで社員の行動が劇的に変わるわけではありませんが、「会社が公式に認めている」という事実が心理的ハードルを確実に下げます。特に真面目な社員ほど、「ルール」があることで安心して雑談に参加できるようになります。

施策2:部署を越えた「偶然の接点」を設計する——シャッフルランチ・1on1制度

オフィスの廊下で偶然すれ違うような「異なる部署の人と話す機会」は、テレワークではゼロになります。総務がこれを仕組みとして再現するのが、シャッフルランチクロス1on1制度です。

  • 月に1回、部署の異なるメンバーをランダムに3〜4名でグループ化し、ランチや30分の雑談タイムを設定
  • 新入社員×他部署のベテランのペアを総務が組み合わせ、メンター的な接点をつくる
  • ランチ代を会社が一部補助する福利厚生と組み合わせ、参加のインセンティブを設計

ポイントは、「ランダムに組み合わせる」ことでの「言い訳」を提供することです。「自分から誘う」のは心理的負荷が高いですが、「総務が組み合わせたから」という理由があれば、誰でも自然に参加できます。

施策3:オフィスの「余白」を意図的に設計する——フリーアドレス+マグネットスペース

出社日がある企業では、オフィスのレイアウトもコミュニケーションに大きく影響します。

  • フリーアドレス制の導入で、毎日異なる人が隣になる偶然を生む
  • マグネットスペース(コーヒーコーナーやスタンディングテーブル)を設置し、人が自然と集まる場所をつくる
  • **ホワイトボードや付箋を置いた「つぶやきコーナー」**で、声に出さなくても考えを共有できる場を用意

これらはすべて総務の裁量で実行できる施策です。重要なのは、「業務効率」だけでなく「偶然の接触頻度」を意識してオフィスを設計すること。最も効率的なレイアウトが、最もコミュニケーションが生まれるレイアウトとは限りません。

総務が主導する3つの施策総務が主導する3つの施策

ツールが自動で「きっかけ」を生み出す——テクノロジーで補うコミュニケーション

総務が制度を整えた次のステップは、日常の中にコミュニケーションのきっかけを自動的に埋め込むツールの活用です。

ツール活用1:社内SNS・タイムライン型ツールで「何気ない発信」を促す

メールやビジネスチャットは「用件を伝える」ためのツールです。これに対して、タイムライン型の社内SNSは**「用件がなくても投稿していい」場**です。

「今日のランチ美味しかった」「週末に子どもと公園に行った」「この記事おもしろかった」——こうした何気ないつぶやきが、リモートワークで見えなくなった「人となり」を可視化し、雑談のきっかけになります。

Seediaは、こうした日常のつぶやきや共有がタイムラインで自然に流れる社内コミュニケーションツールです。「いいね」やコメントといったSNS的なリアクションが可能なため、テレワークで失われがちな「ちょっとした反応」をカジュアルにやり取りできます。業務ツールでは遠慮してしまう軽い会話も、SNS型のインターフェースなら心理的ハードルが下がるのがポイントです。

ツール活用2:AIボットによる話題提供で「沈黙」を打破する

社内チャットに雑談用チャンネルを作っても、「誰かが最初に投稿するのを待つ」状態が続き、やがて過疎化する——よくある失敗パターンです。

この問題を解決するのが、AIを活用した話題提供ボットです。

  • 毎朝、チームチャンネルに「今日のお題」を自動投稿
  • 季節やニュースに合わせた軽い質問(「花粉症対策、何かしていますか?」など)
  • 週末明けに「週末どう過ごしましたか?」のようなアイスブレイク

AIが話題を投稿することで、「最初の一言を誰が言うか問題」が解消されます。ボットの投稿にリアクションやコメントをするだけなので、心理的負荷が極めて低い。しかも、AIが曜日や時期に応じて話題を変えるため、マンネリ化を防げます。

SlackやTeamsと連携できるAIボットは多数存在し、総務がノーコードで導入できるものもあります。制度としての雑談推奨と組み合わせれば、「公式に認められた場で、AIが話題を提供してくれる」という二重の安心感が生まれます。

ツール活用3:ランダムマッチングツールで「偶然の出会い」を自動化する

前述のシャッフルランチ制度を、ツールで自動化する方法もあります。

  • Donut(Slack連携):毎週自動でランダムにペアを組み、コーヒーチャットを提案
  • RandomCoffee:AIが所属部署や過去のマッチング履歴を考慮して、最適なペアを生成
  • バーチャルオフィスツール(Gather、oViceなど):アバターで仮想オフィスを歩き回り、近くにいる人と自然に会話

総務が手動でペアを組む場合、運用の手間が大きく長続きしないことがあります。ツールに自動化させることで、総務の運用コストを下げながら、持続的に「偶然の接点」を提供し続けられるのが大きなメリットです。

こんな組織・総務担当者におすすめです

  • テレワークリモートワーク中心で、社員同士の雑談がほぼゼロになっている
  • 懇親会やイベントを企画しても「一時的な盛り上がり」で終わり、持続的な効果が出ない
  • コミュニケーション不足がエンゲージメント調査の結果に表れ、経営層から改善を求められている
  • 施策を打ちたいが、何から始めればいいか分からず手が止まっている
  • 新入社員や中途採用のメンバーが組織になじめず、早期離職するケースが増えている

社内コミュニケーションの問題は、「総務が頑張ればなんとかなる」ものではありません。しかし同時に、総務が動かなければ何も変わらないのも事実です。

大切なのは、自分たちの手で「制度」を整え、ツールに「日常のきっかけ」を任せるという役割分担を明確にすること。すべてを自力でやろうとせず、テクノロジーに任せられる部分は積極的に任せる——それが、持続可能なコミュニケーション施策の秘訣です。

まとめ

まとめ:総務×ツールで社内コミュニケーションを活性化まとめ:総務×ツールで社内コミュニケーションを活性化

リモートワークテレワークの普及により、かつてオフィスで自然に生まれていた雑談や偶然の接点が失われ、多くの組織がコミュニケーション不足に直面しています。この課題に最も効果的にアプローチできるのが、総務部門です。

この記事のポイントを振り返ります。

総務ができること(制度設計)

  1. 「雑談OK」の明文化 — 心理的安全性を制度で保証し、雑談へのハードルを下げる
  2. シャッフルランチ・クロス1on1 — 部署を越えた偶然の接点を仕組みとして提供する
  3. オフィスの余白設計 — フリーアドレスやマグネットスペースで自然な出会いを生む

ツールができること(きっかけの自動化)

  1. 社内SNS・タイムライン — 何気ないつぶやきで「人となり」を可視化し、雑談の糸口をつくる
  2. AIボットによる話題提供 — 毎日の「最初の一言」を自動化し、沈黙を打破する
  3. ランダムマッチング — 偶然の出会いをツールが自動生成し、運用コストなく継続する

制度が「やっていい」を保証し、ツールが「きっかけ」を届ける——この両輪が揃ったとき、社内コミュニケーションは自走し始めます。

まずは小さな一歩から始めてみてください。総務として「雑談を推奨します」と一言メッセージを発信する。あるいは、社内SNSツールを試験的に導入してみる。完璧な施策を待つ必要はありません。今日できることを、今日始める。それが、組織のコミュニケーションを変える最初のアクションです。

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