社内SNSの成功は「運用ルールを決めすぎない」ことから始まる

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社内SNSの成功は「運用ルールを決めすぎない」ことから始まる社内SNSの成功は「運用ルールを決めすぎない」ことから始まる

社内SNSに「ルールを決めすぎて」失敗していませんか

社内SNSを導入した直後、まず何をしましたか?

多くの企業では、こんなことが起きています。

  • 投稿のフォーマットを決めた
  • チャンネルの命名規則を作った
  • 「業務に関係ない投稿は禁止」というルールを設けた
  • 既読スルー禁止、返信は24時間以内、スタンプだけの反応は不可——

こうしたSlack運用のルールや情報共有ツールのガイドラインを、まるで社内規定のように作り込んだ結果、誰も投稿しなくなった

実はこれ、DX推進における社内SNSの失敗パターンとして、最も多いケースのひとつです。

総務省の「情報通信白書」でも、企業の情報共有ツールの導入は年々増加している一方で、実際にアクティブに利用されている企業は半数にも満たないとされています。ツールを入れたのに使われない。その原因の多くは、ツールそのものではなく運用の仕方にあります。

そして最も皮肉なのは、「うまく使ってもらおう」と思って作ったルールこそが、利用を妨げているという事実です。

「ルールがないと不安」——その気持ち、よくわかります

運用ルールを細かく設定してしまう担当者の気持ちは、痛いほどよくわかります。

社内SNSやSlack運用を任された担当者は、こんな不安を抱えています。

  • 「不適切な投稿があったらどうしよう」
  • 「雑談ばかりになって、業務の邪魔にならないか」
  • 「上司に『管理が甘い』と言われないか」
  • 「情報が散らかって、ツール疲れの原因にならないか」

この不安を解消するために、ルールを作る。ルールがあれば、何か起きたときに「ちゃんとやっていました」と言える。いわば、担当者にとってルールは「保険」なのです。

さらに、日本企業特有の文化も影響しています。「前例がないことはやらない」「失敗するくらいなら何もしない方がいい」という空気の中で、ルールなしに社内SNSを運用するのは、まるで安全ネットなしで綱渡りをするような感覚かもしれません。

しかし、ここで冷静に考えてみてください。

あなたがプライベートで使っているSNSに、細かいルールはありますか?

TwitterやInstagram、LINEのグループ。投稿フォーマットもなければ、返信期限もない。それでも自然にコミュニケーションが生まれている。むしろルールがないからこそ、気軽に使えるのではないでしょうか。

社内SNSも、本質は同じです。

この記事で「ゆるい運用」の具体的な始め方がわかります

本記事では、社内SNSやSlack運用でルールを最小限にして定着させる方法を解説します。

「ルールを決めない」と聞くと無秩序な状態を想像するかもしれませんが、そうではありません。必要最低限の約束だけを共有し、あとは現場に委ねるというアプローチです。

DX推進の文脈で言えば、情報共有ツールを「使わせる」のではなく「使いたくなる」状態をつくること。ツール疲れを生まない、持続可能な運用の形を一緒に考えていきましょう。

ゆるい運用の始め方ゆるい運用の始め方

社内SNSを定着させる「ゆるい運用」5つの原則

原則1:ルールは3つ以内に絞る

最初に決めるルールは3つ以内にしてください。人が覚えていられるルールの数には限界があります。

おすすめは以下の3つだけです。

  1. 個人情報・機密情報は投稿しない(これは必須)
  2. 誹謗中傷はしない(これも当然)
  3. 困ったら管理者に相談する(逃げ道を用意する)

これ以外のルール——投稿フォーマット、返信期限、チャンネル利用規約——は、最初の段階では不要です。

「でも、チャンネルが乱立したらどうするの?」と思うかもしれません。大丈夫です。チャンネルの整理は、実際に乱立してから考えれば十分です。まだ誰も使っていないツールの整理方法を議論するのは、家具を買う前に収納術を学ぶようなものです。

原則2:「雑談チャンネル」を公式に作る

多くの企業がやりがちな失敗は、社内SNSを業務連絡専用ツールにしてしまうことです。

業務連絡だけなら、メールで十分です。わざわざ社内SNSを導入する意味は、メールではできないコミュニケーションを生み出すこと。それが雑談です。

Slack運用で成功している企業の多くは、以下のようなチャンネルを公式に設けています。

  • #random#雑談:何でも投稿OK
  • #lunch#今日のごはん:ランチ情報の共有
  • #趣味:仕事以外の話題

「業務に関係ない投稿を許可して、生産性は下がらないのか?」

ハーバード・ビジネス・レビューの研究によれば、職場での雑談は信頼関係の構築に不可欠であり、雑談が活発なチームは業務上のコミュニケーションも円滑になるという結果が出ています。

雑談は生産性の敵ではなく、生産性の土台です。

原則3:管理者が最初の投稿者になる

社内SNSが「シーン」としてしまう最大の原因は、誰も最初の一歩を踏み出せないことです。

新しいツールに最初に投稿するのは、想像以上に心理的ハードルが高い。「こんなことを書いていいのかな」「変に思われないかな」という不安が、全員の手を止めます。

だからこそ、管理者や推進担当者が率先して投稿することが重要です。

それも、業務連絡ではなくカジュアルな投稿がベストです。

  • 「今日のランチ、近くにできた新しいカフェに行ってきました☕」
  • 「週末に子どもと公園に行ったら、思いのほか楽しかった」
  • 「このツール、使い方がよくわからないので一緒に試行錯誤しましょう笑」

最後の例のように、「自分もよくわかっていない」と正直に言うのも効果的です。完璧な管理者より、一緒に試行錯誤してくれる管理者の方が、心理的安全性は格段に高まります。

原則4:「使わない人」を責めない

社内SNSの導入後、必ず起きるのが利用率の格差です。

毎日投稿する人がいる一方で、アカウントを作っただけで一度もログインしない人もいる。ここで絶対にやってはいけないのが、「使っていない人」を名指しで注意することです。

「〇〇さん、まだ一度も投稿していませんよ」 「全員、週に1回は投稿してください」

こうした強制は、ツール疲れの最大の原因になります。義務感で使うツールは、遅かれ早かれ廃れます

代わりに効果的なのは、使っている人を可視化することです。

  • 「今週、営業部の△△さんが共有してくれた情報がすごく役立ちました」
  • 「#雑談チャンネル、最近盛り上がっていますね」

ポジティブな事例を見せることで、「自分も使ってみようかな」という自発的な動機が生まれます。

原則5:ルールは「後から育てる」

最初にルールを決めすぎない代わりに、運用しながら必要なルールだけを追加していくというスタンスが重要です。

これは、ソフトウェア開発でいうアジャイルの考え方と同じです。最初から完璧な設計を目指すのではなく、小さく始めて、フィードバックを得ながら改善する。

具体的には、月に1回程度、こんな振り返りをしてみてください。

  • 困っていることはあるか?(あれば、その問題に対してだけルールを追加)
  • 使いにくい点はあるか?(あれば、チャンネル構成やツールの設定を調整)
  • 良かった使い方はあるか?(あれば、事例として全社に共有)

こうすることで、ルールは**現場の実態に即した「生きたルール」**になります。会議室で作った机上のルールとは、定着率が段違いです。

5つの原則5つの原則

「ゆるい運用」を支えるツール選びのポイント

ここまで運用の話をしてきましたが、ツール選び自体も「ゆるい運用」の成否を左右します。

どれだけ運用ルールを最小限にしても、ツール自体が複雑では意味がありません。情報共有ツールを選ぶ際は、以下のポイントを意識してください。

① 直感的に使えること マニュアルを読まなくても、開いた瞬間に使い方がわかるツール。Slack運用で苦労している企業の多くは、機能が多すぎて社員が混乱しているケースです。

② 導入のハードルが低いこと アカウント作成が簡単で、すぐに使い始められること。招待メール一通で始められるくらいが理想です。

③ 既存の業務フローを壊さないこと 今の仕事のやり方を大きく変えなくても、自然に組み込めるツール。DX推進は「革命」ではなく「進化」であるべきです。

たとえばSeediaのように、社内のコミュニケーションを自然な形で促進できるサービスも選択肢のひとつです。重要なのは、ツールが社員の行動を縛るのではなく、行動を後押しする設計になっているかどうかです。

こんな企業・担当者におすすめです

  • 社内SNSを導入したものの、利用率が低くて悩んでいる
  • Slack運用のルールを何度も改定しているが、定着しない
  • DX推進を任されたが、ツール疲れの声が現場から上がっている
  • 情報共有ツールを「使わせる」ことに疲れている
  • 新しいツールの導入を検討しているが、また失敗するのではと不安

もし1つでも当てはまるなら、今の運用ルールを見直すタイミングです。

ルールを「足す」のではなく「引く」。この発想の転換だけで、社内SNSの空気は驚くほど変わります。そして、この変化は早ければ早いほど効果的です。すでに「使われないツール」というレッテルが社内で定着してしまうと、挽回には何倍もの労力がかかります。

まとめ

まとめまとめ

社内SNSの成功は、完璧なルールを作ることではなく、ルールを最小限にして「使いたくなる空気」をつくることから始まります。

本記事のポイントを振り返ります。

  • ルールは3つ以内:個人情報保護・誹謗中傷禁止・相談窓口の3つで十分
  • 雑談を公式に許可する:雑談は生産性の土台
  • 管理者が率先して投稿する:最初の一歩を見せることで心理的安全性をつくる
  • 使わない人を責めない:強制はツール疲れの原因、ポジティブな事例で動機づけ
  • ルールは後から育てる:アジャイルに、現場の声を反映しながら改善

DX推進の本質は、ツールの導入ではなく文化の変革です。そして文化は、ルールではなく日々の小さな行動の積み重ねで変わっていきます。

まずは今日、あなたの社内SNSに一つ、カジュアルな投稿をしてみてください。「おはようございます」でも、「今日のランチどこ行こう?」でも構いません。

その一投稿が、組織のコミュニケーションを変える最初の一歩になるはずです。

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