情報共有ツールが多すぎる問題を解決する「情報のハブ」の作り方
「ツールが増えすぎて、どこに何があるかわからない」
この悩み、心当たりはありませんか?
DX推進の号令のもと、情報共有ツールを次々と導入した結果、気づけば社内には複数のツールが乱立している——。そんな状況に陥っている企業は少なくありません。
- 日常の連絡はSlack
- 会議はすべてTeams
- ナレッジはNotionやConfluence
- タスク管理はBacklogやAsana
- ファイル共有はGoogle DriveとBoxが混在
- 社内SNSとして別のツールも導入済み
それぞれのツールは優れています。導入時には「これで効率化できる」と期待したはずです。
しかし、ツールが増えるたびに**「あの情報、どこにあったっけ?」**という問いが増えていく。結局、Slackで聞く、メールで確認する、会議で「共有お願いします」と頼む——。ツールを入れたのに、コミュニケーションコストが下がっていない。
これが、多くの企業が直面している**「ツール疲れ」**の実態です。
「便利なはずが、逆に不便になっている」という矛盾
ツール疲れを感じている担当者や現場社員の声を聞くと、共通するパターンがあります。
「どこに書けばいいかわからない」
SlackとTeamsの両方にチャンネルがある。どちらに投稿すべきか迷う。結局両方に書く、あるいはどちらにも書かない。情報が分散し、検索しても見つからない。
「通知が多すぎて追えない」
Slackの通知、Teamsの通知、メールの通知、タスク管理ツールの通知。すべてを追おうとすると、それだけで1日が終わる。重要な情報が通知の洪水に埋もれる。
「ツールごとにルールが違う」
Slackはリアクションで返事、Teamsは既読で確認、メールは返信必須——。ツールごとの「お作法」を覚えるだけで疲れる。
「過去の情報が発掘できない」
「半年前に誰かが共有してたあの資料」を探すのに30分かかる。どのツールのどのチャンネルにあるのか、手当たり次第に検索。見つからないことも多い。
こうした状況に、担当者だけが悪いわけではありません。
ツールを導入した経営層も、使う現場も、それぞれの立場で「良かれと思って」判断してきた結果です。問題は、ツール同士の関係性を設計しないまま、個別最適で導入を重ねてきたことにあります。
この記事で「情報のハブ」という解決策がわかります
ツールが増えても混乱しない組織には、ひとつの共通点があります。
それは、「情報のハブ」が明確に定義されていることです。
情報のハブとは、すべての情報が集まり、すべての情報への入り口となる場所のこと。複数のツールが存在しても、「まずここを見ればいい」という一点が決まっていれば、迷いは大幅に減ります。
本記事では、ツール疲れを解消し、情報共有を効率化するための**「情報のハブ」の作り方**を解説します。DX推進を進めながらも、社員が疲弊しない仕組みを一緒に考えましょう。
情報のハブの概念
なぜ「情報のハブ」が必要なのか
理由1:人間の認知負荷には限界がある
複数のツールを使いこなすには、ツールごとのUI、ルール、検索方法を覚える必要があります。
しかし、人間のワーキングメモリ(短期記憶)には限界があります。「Slackではこう、Teamsではこう、Notionではこう」と切り替えるたびに、脳に負荷がかかります。
情報のハブがあれば、「まずここを見る」という判断が自動化されます。ツールが5つあっても10あっても、入り口がひとつなら迷いません。
理由2:ツールは手段であり、目的ではない
DX推進において陥りがちな罠が、ツール導入自体が目的化することです。
「最新のツールを入れた」「複数のツールを使いこなしている」——これらは手段であって、ゴールではありません。本来の目的は、必要な情報に、必要なタイミングで、必要な人がアクセスできること。
ハブを設計するプロセスは、「本当に必要な情報フローは何か」を見直す機会にもなります。
理由3:属人化を防ぎ、組織知を蓄積できる
情報が各ツールに分散していると、**「あの情報はAさんに聞かないとわからない」**という属人化が進みます。
Aさんが休んだら? 退職したら? 情報が失われます。
情報のハブは、組織としてのナレッジを一元的に蓄積・参照できる基盤です。人が入れ替わっても、情報は残り、引き継がれます。
「情報のハブ」を作る3つのステップ
ステップ1:現状のツールと情報フローを棚卸しする
まず、今どんなツールが使われていて、どんな情報がどこに流れているかを可視化します。
以下のような表を作成してみてください。
| ツール名 | 主な用途 | 利用者 | 情報の性質 |
|---|---|---|---|
| Slack | 日常連絡、雑談 | 全社員 | フロー(流れる) |
| Teams | 会議、ビデオ通話 | 全社員 | フロー |
| Notion | ナレッジ蓄積 | 一部部署 | ストック(蓄積) |
| Google Drive | ファイル共有 | 全社員 | ストック |
| Backlog | タスク管理 | 開発チーム | ストック |
| 社内Wiki | マニュアル | 管理部門 | ストック |
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この棚卸しで、重複しているツールやほとんど使われていないツールが見えてきます。
また、「フロー型(流れる情報)」と「ストック型(蓄積する情報)」の区別も重要です。この2つは性質が異なるため、同じツールで扱おうとすると破綻します。
ステップ2:ハブとなるツールを1つ決める
棚卸しが終わったら、「ここを起点にすれば、すべての情報にたどり着ける」というハブを決めます。
ハブの候補として適しているのは、全社員が毎日開くツールです。多くの企業では、Slack運用を軸にした社内SNSがこの役割を担っています。
ハブに求められる条件は以下の通りです。
- 全社員が日常的に使っている(使われないツールはハブになれない)
- 他ツールへのリンクを貼りやすい(情報への入り口として機能する)
- 検索性が高い(過去の情報を発掘できる)
- 通知を柔軟に設定できる(通知疲れを防げる)
ハブは1つだけ。「準ハブ」や「サブハブ」を作った瞬間、また分散が始まります。
ステップ3:ハブからの導線を設計する
ハブが決まったら、他のツールへの導線(リンク)を整備します。
たとえば、Slackをハブにする場合の設計例です。
チャンネル設計
| チャンネル | 役割 |
|---|---|
| #announcements | 全社向け重要連絡(週1回程度) |
| #knowledge-update | Notionの更新通知を自動投稿 |
| #task-notification | Backlogの完了通知を自動投稿 |
| #file-shared | 重要ファイルの共有リンク |
| 各部署チャンネル | 部署内の日常連絡 |
| #random | 雑談(心理的安全性の確保) |
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ルールの明文化
- 「業務で迷ったら、まずSlackの#announcements と #knowledge-update を確認」
- 「新しい資料を作ったら、必ず #file-shared にリンクを投稿」
- 「過去のナレッジはNotionにあるが、入り口はSlackの検索から」
この導線設計により、ツールが複数あっても「Slackから始める」という一点だけ覚えればいい状態になります。
ハブからの導線設計
ハブ運用を成功させる4つのポイント
ポイント1:ツールを減らす勇気を持つ
ハブを作る過程で、**「このツール、実は要らないのでは?」**という発見があるはずです。
ツールが多いほど運用コストがかかります。契約費用、学習コスト、情報分散のリスク——。思い切って統廃合する勇気が、ツール疲れ解消の近道です。
「せっかく導入したのに」というサンクコスト思考は捨てましょう。使われていないツールを維持する方がコストです。
ポイント2:通知設計を徹底する
ハブを作っても、通知が適切でなければ機能しません。
- 重要な情報は通知ON、雑談チャンネルは通知OFF
- @channelや@hereの使用ルールを明確に
- 「通知が多すぎて見なくなった」を防ぐため、通知頻度を定期的に見直す
通知は「見てもらうための仕組み」であり、「見てもらえなくなる原因」にもなります。
ポイント3:定期的なメンテナンスを組み込む
情報のハブは、作って終わりではありません。
- 使われなくなったチャンネルのアーカイブ
- 新しいツールが追加されたときの導線追加
- ルールの形骸化チェック
- 社員からのフィードバック収集
四半期に1回程度、「ハブは機能しているか?」を振り返る場を設けましょう。
ポイント4:全社への周知と教育
どんなに良い設計も、社員が知らなければ意味がありません。
- 新入社員研修でハブの使い方を説明
- 全社ミーティングで定期的にリマインド
- 「困ったらここを見て」というシンプルなガイドを作成
特にDX推進担当者は、「設計した本人だけが理解している」状態を避ける意識が必要です。
Seediaのようなサービスを活用する選択肢
社内SNSをハブとして活用する場合、既存のSlack運用をそのまま拡張する方法と、ハブ機能に特化したサービスを導入する方法があります。
前者はすでに社員が使い慣れているメリットがありますが、Slackはあくまでチャットツールであり、情報の整理・蓄積には工夫が必要です。
後者の選択肢として、情報共有の統合に特化したサービスを検討する価値があります。たとえばSeediaのような、社内コミュニケーションとナレッジ共有を一体化した設計のツールであれば、最初から「ハブとして機能する」ことを前提に作られています。
どちらを選ぶかは、現在のツール環境と組織の規模によります。重要なのは、「ハブがある状態」をゴールとして設計することです。
こんな企業・担当者におすすめです
- 情報共有ツールが3つ以上あり、どこに何があるかわかりにくい
- Slack運用を見直したいが、どこから手をつけていいかわからない
- DX推進を進めているが、現場から「ツールが多すぎる」と言われている
- 新入社員が「情報の探し方がわからない」と困っている
- ツールの契約費用がかさんでいて、整理したい
ツール疲れは、放置すると生産性の低下だけでなく、社員のエンゲージメント低下にもつながります。「便利にするために入れたツールが、逆にストレス源になっている」という本末転倒は、早めに解消すべきです。
まとめ
まとめ
情報共有ツールが増えすぎて混乱する——この問題の解決策は、「情報のハブ」を作ることです。
本記事のポイントを振り返ります。
ツール疲れの正体
- どこに書けばいいかわからない
- 通知が多すぎて追えない
- ツールごとにルールが違う
- 過去の情報が発掘できない
情報のハブが必要な理由
- 認知負荷を減らし、「まずここを見る」を自動化
- ツールを手段として再定義し、本来の目的に立ち返る
- 属人化を防ぎ、組織知を蓄積
ハブを作る3ステップ
- 現状のツールと情報フローを棚卸し
- ハブとなるツールを1つ決める
- ハブからの導線を設計する
成功のポイント
- ツールを減らす勇気
- 通知設計の徹底
- 定期的なメンテナンス
- 全社への周知と教育
DX推進は、ツールを増やすことではなく、情報が適切に流れる仕組みを作ることです。
まずは、自社で使っているツールを書き出すことから始めてみてください。「意外と多い」と気づくことが、ハブ設計の第一歩です。