社内の「隠れインフルエンサー」を見つけ出し組織変革の旗手にする方法【リモートワーク】

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社内の「隠れインフルエンサー」を見つけ出し組織変革の旗手にする方法社内の「隠れインフルエンサー」を見つけ出し組織変革の旗手にする方法

「誰に聞けば話が進むか」——組織には見えないハブがいる

「あの人に相談すると、なぜかうまくいく」「あの人がいるチームは、なんとなく雰囲気がいい」

どの組織にも、肩書きや役職とは関係なく、人と人をつなぐハブのような存在がいます。公式の組織図には現れないけれど、雑談の中心にいて、部署を超えて信頼されている人。それが「隠れインフルエンサー」です。

しかし、リモートワークテレワークが普及した今、この存在が見えにくくなっています。

  • オフィスで自然に生まれていた雑談がなくなり、誰が誰とつながっているか分からない
  • Slackやチャットのやり取りは見えるが、非公式な影響力は数値化しにくい
  • マネージャーがチームの人間関係を把握できないまま、施策だけが降りてくる
  • 組織変革を進めたいのに、現場のキーパーソンが誰なのか分からない
  • 新しい制度やツールを導入しても、浸透しないまま形骸化する

組織の中に眠っている「隠れインフルエンサー」を見つけられないことは、コミュニケーション不足以上に深刻な問題です。なぜなら、変革の推進力そのものを失っているからです。

「トップダウンだけでは変わらない」——現場に火をつける人が見つからないジレンマ

この課題に直面しているのは、経営層や人事だけではありません。

「DXを推進したい」「心理的安全性を高めたい」「新しい評価制度を浸透させたい」——どんなに素晴らしい方針を打ち出しても、現場で旗を振る人がいなければ、変革は絵に描いた餅で終わります。

特にテレワーク環境では、このギャップが顕著です。対面であれば、フロアを歩き回るだけで「あの人、いろんな部署の人とランチに行ってるな」「困った時にみんなが頼っているな」と気づけました。しかしリモートワークでは、そうした非公式な影響力のネットワークが完全に見えなくなります。

結果として起きること:

  • 公式のリーダーだけに変革を任せ、現場との温度差が広がる
  • 「また上から降りてきた施策か」と受け身の姿勢が蔓延する
  • 本当に影響力のある人が評価されず、モチベーションを失う
  • 雑談の中で生まれていたアイデアや改善提案が、誰にも届かなくなる

この痛み、組織運営に関わる方なら身に覚えがあるのではないでしょうか。

でも安心してください。「隠れインフルエンサー」は消えたのではなく、見えなくなっているだけです。正しいアプローチで探せば、必ず見つかります。

隠れインフルエンサーを発掘し、組織変革のエンジンにする——5つの実践ステップ

隠れインフルエンサーの発掘隠れインフルエンサーの発掘

ここからは、リモートワークテレワーク環境でも社内の隠れインフルエンサーを見つけ出し、組織変革の推進役として活かすための具体的なステップを紹介します。雑談の力を再評価し、コミュニケーション不足を根本から解消する方法です。

ステップ1:コミュニケーションデータを「見える化」する

チャットツールのやり取りからネットワークを可視化する

隠れインフルエンサーを見つける最初のステップは、社内コミュニケーションのパターンを数値で把握することです。感覚ではなく、データで探します。

SlackやTeamsなどのチャットツールには、メッセージのやり取りに関するデータが蓄積されています。以下の指標に注目してみましょう。

指標見るべきポイント
メンション数他のメンバーから名前を挙げられる回数が多い人
スレッド参加率自分のチャンネル以外のスレッドにもよく参加する人
クロスチャンネル活動複数の部署・チームのチャンネルで発言している人
リアクション数投稿に対するリアクション(絵文字)が多い人
DM起点数多くの人からDMで相談を受けている人

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「発信量」ではなく「つながりの幅」を重視する

ここで注意したいのは、投稿数が多い人=インフルエンサーではないということです。重要なのは「どれだけ多くの人と、部署を超えてやり取りしているか」というつながりの幅と深さです。

1日に50件投稿する人よりも、10件の投稿で5つの部署の人と対話している人のほうが、組織への影響力は大きい可能性があります。

ステップ2:「非公式ネットワーク」を調査する——アンケートとヒアリング

ネットワーク調査アンケートを実施する

データ分析だけでは見えないつながりもあります。特にテレワーク環境では、電話やビデオ通話、社外での交流など、チャットに残らないコミュニケーションも多いはずです。

そこで有効なのが、**組織ネットワーク分析(ONA: Organizational Network Analysis)**の手法を応用した簡易アンケートです。

全社員に以下の質問を投げかけます:

  1. 仕事で困った時、最初に相談する人は誰ですか?(3人まで)
  2. 新しいアイデアを話したい時、誰に声をかけますか?(3人まで)
  3. 社内の最新情報をいち早く知っている人は誰だと思いますか?(3人まで)
  4. チームの雰囲気を良くしてくれていると思う人は誰ですか?(3人まで)

名前が重複する人こそ「隠れインフルエンサー」

複数の質問で繰り返し名前が挙がる人、特に異なる部署の人から名前が挙がる人が、まさに「隠れインフルエンサー」です。

この調査のポイントは、役職や肩書きとは無関係に名前が挙がること。マネージャーではない一般社員が、部署を超えて「あの人に聞けば分かる」と認知されているケースは珍しくありません。

ステップ3:隠れインフルエンサーのタイプを分類する

4つのインフルエンサータイプ

発掘した隠れインフルエンサーは、一様ではありません。影響力の性質によって4つのタイプに分類できます。それぞれの特性を理解することで、適切な役割を任せられます。

1. コネクター型(橋渡し役)

  • 特徴:複数の部署・チームに知り合いがおり、人と人をつなげるのが得意
  • 雑談の場で「そういえば〇〇さんが同じこと言ってたよ」と情報をつなげる
  • 活かし方:部門横断プロジェクトのハブ役、社内コミュニティの運営

2. エキスパート型(知識の泉)

  • 特徴:特定の分野で深い知識を持ち、困った時に頼られる存在
  • 「〇〇のことなら△△さんに聞け」と社内で認知されている
  • 活かし方:社内勉強会の講師、ナレッジベースの整備リーダー

3. ムードメーカー型(空気の調律師)

  • 特徴:チームの心理的安全性を高め、場の雰囲気を良くする力がある
  • リモートワークでも積極的に雑談を振り、新メンバーに声をかける
  • 活かし方:オンボーディングのバディ、チーム文化の醸成役

4. イノベーター型(変革の種まき)

  • 特徴:新しいツールや方法論をいち早く試して周囲に広める
  • 「こういうやり方もあるよ」と自然に新しい風を吹き込む
  • 活かし方:新制度・新ツールのアーリーアダプター、パイロットチームのリーダー

4つのインフルエンサータイプ4つのインフルエンサータイプ

ステップ4:インフルエンサーに「公式の役割」を与える

非公式の影響力を公式に認める

隠れインフルエンサーを見つけたら、次はその影響力を組織として正式に認め、活用する仕組みを作ります。ここが最も重要なステップです。

ただし注意点があります。「あなたはインフルエンサーです。組織変革を頼みます」と直接伝えるだけでは、プレッシャーになるだけです。大切なのは、彼らが自然にやっていることを評価し、その延長線上に公式な役割を設計することです。

具体的な役割設計の例

インフルエンサータイプ任せる役割期待される効果
コネクター型部門横断ワーキンググループのファシリテーター部署間の壁を壊す
エキスパート型社内ナレッジ共有セッションの企画・運営暗黙知の形式知化
ムードメーカー型新入社員のオンボーディングバディ早期離職の防止
イノベーター型新ツール・新制度のパイロットユーザー変革の現場浸透

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評価制度にも反映する

隠れインフルエンサーの活動は、従来の成果主義では評価しにくいものです。「組織への貢献度」「コラボレーション指標」といった評価軸を設け、非公式な影響力も正当に評価される仕組みを作りましょう。

これにより、「目立たないけど組織を支えている人」が報われる文化が生まれます。

ステップ5:インフルエンサーが活躍できる「場」を設計する

雑談が生まれる仕組みをつくる

隠れインフルエンサーの力は、非公式なコミュニケーションの中で最大化されます。つまり、彼らが活躍するためには、雑談が自然に生まれる場が必要です。

テレワーク環境で雑談の場を作る方法:

  • バーチャルコーヒーチャット:週1回、ランダムにペアを組んで15分間の雑談タイムを設ける
  • 「今日の一言」チャンネル:毎朝、軽いお題(「最近ハマっていること」など)を投げて雑談のきっかけを作る
  • オンラインランチ会:月1回、部署混合のオンラインランチで部門を超えた交流を促進
  • 雑談専用の時間帯:会議の冒頭5分を雑談タイムにして、本題の前にアイスブレイク

こうした場に隠れインフルエンサーが参加すると、自然と会話が広がり、部署間の壁が低くなっていきます

テクノロジーを活用して雑談を仕組み化する

リモートワーク雑談を自然に生み出すには、仕組みの力を借りることも重要です。たとえばSeediaのようなサービスを活用すれば、チームメンバー同士の対話のきっかけを自動で創出できます。隠れインフルエンサーの力と、雑談を生み出す仕組みを掛け合わせることで、コミュニケーション不足の解消だけでなく、組織変革のスピードも加速します。

こんなチーム・組織におすすめ

  • リモートワークテレワーク中心で、社員同士のつながりが見えにくくなっている
  • 組織変革やDXを推進したいが、現場に浸透しないと悩んでいる
  • マネージャーがチームの人間関係を把握しきれていない
  • コミュニケーション不足により、部署間の連携がうまくいかない
  • 新制度やツールを導入しても、一部のメンバーしか使わない

組織の中には、まだ気づかれていない「変革の種」を持つ人材が必ずいます。リモートワークで見えにくくなった今こそ、意識的に探しに行くべきです。隠れインフルエンサーを見つけ、活かすことは、コミュニケーション不足の解消にとどまらず、組織全体の成長エンジンになります。

まとめ

まとめまとめ

リモートワークテレワークの普及により、組織の中の非公式なつながりが見えにくくなっています。しかし、コミュニケーション不足を嘆くだけでは何も変わりません。組織の中に必ずいる「隠れインフルエンサー」を見つけ出し、変革の旗手として活かすことが、今求められています。

今回ご紹介した5つのステップをおさらいします。

  1. コミュニケーションデータを見える化する——チャットツールの指標からネットワークを可視化
  2. 非公式ネットワークを調査する——アンケートとヒアリングで隠れた影響力を発掘
  3. インフルエンサーのタイプを分類する——4つのタイプに応じた活かし方を設計
  4. 公式の役割を与える——非公式な影響力を正式に認め、評価制度にも反映
  5. 活躍できる場を設計する——雑談が生まれる仕組みを作り、影響力を最大化

大切なのは、隠れインフルエンサーは**「発掘して終わり」ではないということ。彼らが力を発揮できる雑談**の場、部署を超えた交流の機会、そして正当な評価の仕組み——この3つがそろって初めて、組織変革は加速します。

まずは今日、チームの中で「困った時に最初に相談される人は誰か」を考えてみてください。その人こそが、あなたの組織の「隠れインフルエンサー」かもしれません。その力を活かすことが、コミュニケーション不足を根本から解消し、強い組織を作る第一歩になるはずです。

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