なぜ御社の「サンクスカード」は定着しないのか?失敗する3つの理由
サンクスカード制度、導入したのに誰も使わない問題
「サンクスカード制度を導入したのに、全然使われていない…」
「最初の1ヶ月だけ盛り上がって、今では形骸化している…」
「義務的に書かれたカードばかりで、本来の目的が達成できていない…」
こんな悩みを抱えている人事担当者やマネージャーの方は多いのではないでしょうか。
サンクスカードは、従業員同士の称賛や感謝を可視化し、組織風土を改善するための施策として、多くの企業で導入されています。離職率の改善やエンゲージメント向上を期待して始めたものの、思うような効果が出ないまま放置されているケースが少なくありません。
実は、サンクスカードが定着しない企業には共通するパターンがあります。そして、その原因のほとんどは「制度そのもの」ではなく「運用方法」にあるのです。
「うちの会社だけがうまくいかない」わけではない
サンクスカードがうまく機能しないことに、自社の組織風土や従業員の意識の問題だと感じている方もいるかもしれません。
しかし、これは御社だけの問題ではありません。
ある調査によると、サンクスカードや社内表彰制度を導入した企業のうち、「期待通りの効果が出ている」と回答した企業は3割程度にとどまるというデータもあります。つまり、7割近くの企業が何らかの課題を抱えているのです。
「導入すれば自然と使われるだろう」 「良い制度なのだから、従業員も喜ぶはず」 「他社でうまくいっているから、うちでもうまくいくだろう」
こうした期待が、現実とのギャップを生んでいます。
心理的安全性の研究で知られるエイミー・エドモンドソン教授が指摘するように、組織における行動変容は、単に仕組みを導入するだけでは起きません。人が自然と行動したくなる環境づくりが必要なのです。
サンクスカードがうまくいかない原因を正しく理解することで、改善への道筋が見えてきます。
サンクスカードが失敗する3つの理由と改善策
サンクスカードが定着しない原因は、大きく3つに分類できます。それぞれの原因と、具体的な改善策を見ていきましょう。
サンクスカードが失敗する3つの理由
失敗理由1:心理的安全性が低い組織で導入している
なぜ心理的安全性が重要なのか
サンクスカードの本質は、「感謝や称賛を言葉にして伝える」ことです。しかし、これは心理的安全性が低い組織では非常にハードルが高い行動です。
心理的安全性が低い組織では、以下のような心理が働きます。
- 「感謝を伝えると、媚びていると思われるのではないか」
- 「特定の人ばかり褒めると、他の人から妬まれるのではないか」
- 「上司に感謝を伝えると、ゴマすりだと思われるのではないか」
- 「自分が書いたカードを他の人に見られるのが恥ずかしい」
こうした心理的な障壁がある状態で、「さあ、感謝を伝え合いましょう」と言っても、行動にはつながりません。
心理的安全性を高めてから導入する
サンクスカード制度を導入する前に、まず組織の心理的安全性を確認しましょう。
チェックポイント:
- 会議で若手が自由に発言できているか
- 失敗やミスを隠さずに報告できる雰囲気があるか
- 「わからない」「助けてほしい」と言いやすい環境か
- 上司と部下の間で率直なフィードバックができているか
これらが十分でない場合は、サンクスカードの導入よりも先に、心理的安全性を高める取り組みを優先すべきです。
具体的な改善策:
- マネージャーが率先して感謝を伝える姿を見せる
- 1on1ミーティングで「最近感謝したいこと」を話題にする
- 失敗を責めず、学びの機会として扱う文化をつくる
- まずは小さなグループから始めて、成功体験を積み重ねる
失敗理由2:書くハードルが高すぎる
「立派なことを書かなければ」という呪縛
多くの企業で見られるのが、サンクスカードを「特別なもの」として位置づけてしまうパターンです。
「大きな成果を出した人に送るもの」 「素晴らしい行動をした人を称えるもの」 「全社に共有されるものだから、しっかり書かなければ」
こうした意識があると、カードを書くハードルが一気に上がります。
結果として、「書くほどのことがない」「何を書けばいいかわからない」という状態になり、誰もカードを書かなくなってしまいます。
日常の「ちょっとした感謝」を書けるようにする
サンクスカードを定着させるコツは、「小さな感謝」を気軽に書ける環境をつくることです。
ハードルを下げる工夫:
- 「ありがとう」の一言だけでもOKとする
- 定型文やテンプレートを用意する
- 日常の些細な助け合いも称賛の対象にする
- 書く量や質を評価しない
称賛の例:
- 「資料の準備を手伝ってくれてありがとう」
- 「いつも丁寧に質問に答えてくれて助かっています」
- 「急な依頼に対応してくれてありがとう」
- 「いつも元気な挨拶をしてくれて、朝から気持ちが良いです」
このような日常的な感謝を伝え合うことで、自然と称賛文化が根付いていきます。
失敗理由3:継続する仕組みがない
「導入しっぱなし」の落とし穴
サンクスカード制度の多くは、導入直後は注目を集めて活発に使われますが、時間とともに利用が減少していきます。
これは、制度を導入した後の「継続させる仕組み」がないことが原因です。
よくある失敗パターン:
- 導入時の説明会だけで、その後のフォローがない
- 利用状況を誰もモニタリングしていない
- 活用している人を認知・称賛する機会がない
- マネージャーが率先して使っていない
人の行動は、放っておくと楽な方向に流れます。「書かなくても困らない」状態では、わざわざ手間をかけてカードを書こうという動機が生まれません。
継続のための仕組みをつくる
サンクスカードを定着させるには、意図的に継続させるための仕組みが必要です。
効果的な仕組みの例:
-
定期的なリマインド
- 週次・月次で利用状況を共有する
- 定例会議の冒頭で「今週の感謝」を共有する時間を設ける
-
可視化と認知
- 送られたカードを社内で共有する(掲示板、チャット、朝礼など)
- 多くのカードを送っている人、もらっている人を紹介する
-
リーダーの率先垂範
- マネージャーが定期的にカードを送る
- 経営層が称賛の重要性を繰り返し発信する
-
フィードバックループ
- カードをもらった人が嬉しかったことを共有する
- 称賛がきっかけで生まれた良い変化を紹介する
サンクスカード定着のための3つのステップ
サンクスカードを成功させるための組織風土づくり
ここまで、サンクスカードが失敗する3つの理由と改善策を見てきました。これらに共通するのは、「制度の問題」ではなく「組織風土の問題」だということです。
サンクスカードは、あくまでも称賛文化を促進するためのツールに過ぎません。ツールを導入しただけで組織が変わることはなく、組織風土そのものを変える取り組みが必要なのです。
エンゲージメント向上につながる称賛文化の特徴
従業員エンゲージメントの向上や離職率の改善を実現している組織では、以下のような称賛文化が根付いています。
- 日常的:特別な機会だけでなく、日々の業務の中で自然に感謝が伝えられる
- 双方向:上司から部下だけでなく、同僚間や部下から上司への称賛もある
- 具体的:「すごい」ではなく「〇〇が助かった」と具体的に伝えられる
- 即時的:良い行動があったその場で、タイムリーに伝えられる
このような文化をつくるには、サンクスカードだけでなく、日常のコミュニケーション全体を見直す必要があります。
デジタルツールの活用も選択肢の一つ
従来の紙のサンクスカードには、以下のような課題があります。
- 物理的に渡す手間がある
- リモートワーク環境では使いにくい
- 蓄積や可視化が難しい
- 運用の負担が大きい
これらの課題を解決するために、デジタルの称賛ツールを活用する企業も増えています。
例えば、Seediaのようなサービスでは、日常的な称賛や感謝をデジタルで簡単に送り合うことができます。送られた称賛が可視化されることで、組織全体で称賛文化を育てやすくなります。
ツール選びの際は、以下の点をチェックしましょう。
- 使いやすさ(操作が簡単か)
- 可視化機能(称賛が組織全体で見えるか)
- 継続性(運用負担が少ないか)
- 既存ツールとの連携(Slackなどと連携できるか)
こんな組織にサンクスカードの見直しをおすすめします
以下のような状況にある組織には、サンクスカード制度の見直しが特に効果的です。
- サンクスカード制度を導入したが、利用が低迷している
- 従業員エンゲージメントの向上に取り組みたいが、成果が出ていない
- 離職率が高く、組織風土に課題を感じている
- 心理的安全性を高めたいが、具体的な方法がわからない
- リモートワークで社員同士のつながりが希薄になっている
サンクスカード制度の失敗は、組織風土を見直すきっかけになります。
「なぜうまくいかないのか」を分析することで、組織の本質的な課題が見えてきます。そして、その課題に向き合うことが、エンゲージメント向上や離職率改善への第一歩となるのです。
まずは今週、チーム内で「感謝を伝えることへのハードル」について話し合ってみてはいかがでしょうか。
まとめ:サンクスカード成功のカギは組織風土にある
サンクスカード成功のポイント
サンクスカードが定着しない原因と、その改善策についてお伝えしてきました。
本記事のポイント:
-
失敗理由1:心理的安全性が低い
- 感謝を伝えることへの心理的障壁がある
- まず組織の心理的安全性を高めることが先決
-
失敗理由2:書くハードルが高すぎる
- 「特別なこと」を書かなければという意識が障壁に
- 日常の小さな感謝を気軽に伝えられる環境をつくる
-
失敗理由3:継続する仕組みがない
- 導入しただけでは自然と使われなくなる
- 可視化、リマインド、リーダーの率先垂範で継続させる
サンクスカード制度の成否は、ツールや仕組みではなく、組織風土にかかっています。称賛や感謝を自然に伝え合える文化があってこそ、サンクスカードは本来の効果を発揮します。
制度がうまくいかないと感じたら、それは組織風土を見直すチャンスです。心理的安全性を高め、称賛のハードルを下げ、継続する仕組みをつくる。この3つのステップで、サンクスカードを組織に定着させましょう。
称賛文化を根付かせ、エンゲージメント向上や離職率改善を実現したい方は、Seediaのようなデジタルツールの活用もぜひご検討ください。日常的な称賛を可視化し、組織全体で称賛文化を育てるお手伝いをいたします。