スタートアップの成長痛|組織のギスギスを解消するコミュニケーション設計

心理的安全性組織風土エンゲージメントスタートアップ

スタートアップの成長痛|組織のギスギスを解消するコミュニケーション設計スタートアップの成長痛|組織のギスギスを解消するコミュニケーション設計

「最近、チームの雰囲気がおかしい」と感じていませんか?

スタートアップの創業期は、少人数で阿吽の呼吸で働けていたはずです。ミーティングなんてなくても、ちょっと声をかければすぐに意思疎通ができた。お互いの考えていることがなんとなくわかっていた。

しかし、会社が成長し、10人、20人、50人と人数が増えていくと、様子が変わってきます。

  • 「あの部署、何やってるかわからない」
  • 「最近入った人と、どう接していいかわからない」
  • 「前はもっと楽しく働けていたのに...」
  • 「言いたいことがあっても、言いづらい空気がある」

これらは、スタートアップが急成長する過程で必ずと言っていいほど直面する「成長痛」です。心理的安全性が低下し、離職率が上昇し、エンゲージメントが下がっていく。そんな負のスパイラルに陥っている組織は少なくありません。

実際、スタートアップの離職率は一般企業よりも高い傾向にあり、特に急成長フェーズでは「組織の空気が変わった」という理由で優秀な人材が離れていくケースが多発しています。

その悩み、あなただけではありません

「自分のマネジメントが悪いのではないか」

そう自分を責めている経営者やマネージャーの方も多いのではないでしょうか。しかし、これは決して個人の能力の問題ではありません。

組織が急拡大するとき、組織風土やコミュニケーションの在り方は必然的に変化を迫られます。5人の組織と50人の組織では、情報の流れ方も、関係性の築き方も、根本的に異なるのです。

かつてのGoogleも、Facebookも、そして日本の成功したスタートアップも、同じ壁にぶつかってきました。むしろ、この壁にぶつかるということは、それだけ会社が成長している証拠でもあります。

問題は、この壁をどう乗り越えるか。そして、その鍵となるのが「コミュニケーション設計」なのです。

コミュニケーション設計で組織は生まれ変わる

この記事では、スタートアップの成長痛を乗り越え、健全な組織風土を築くための具体的なコミュニケーション設計についてお伝えします。

特に以下の点にフォーカスしていきます:

  • 心理的安全性を高める仕組みづくり
  • 称賛文化を根付かせる具体的な方法
  • エンゲージメントを向上させるコミュニケーション施策
  • 離職率を下げるための組織的アプローチ

これらは理論だけでなく、実際に多くの組織で効果が実証されている方法ばかりです。

コミュニケーション設計で組織を改善コミュニケーション設計で組織を改善

組織のギスギスを解消する5つのコミュニケーション設計

1. 心理的安全性を構造的に担保する

心理的安全性とは、「このチームでは、自分の意見を言っても否定されない、失敗しても責められない」という安心感のことです。Googleの研究プロジェクト「Project Aristotle」で、最も高いパフォーマンスを発揮するチームの共通要因として特定されたことで、広く知られるようになりました。

しかし、「心理的安全性を高めよう」と声をかけるだけでは、何も変わりません。大切なのは、仕組みとして担保することです。

具体的な施策

発言のハードルを下げる会議設計

  • 会議の冒頭5分で「チェックイン」を行う(今の気分や最近あったことを一人ずつ共有)
  • 意見を求める際は「何か意見ありますか?」ではなく「〇〇さんはどう思いますか?」と指名する
  • 批判ではなく「Yes, and...」で建設的に議論を積み上げるルールを設ける

失敗を共有できる場をつくる

  • 週次で「今週の失敗」を共有する時間を設ける
  • 失敗した人を責めるのではなく「学びをありがとう」と感謝する文化を醸成
  • マネージャーが率先して自分の失敗を開示する

匿名フィードバックチャネルの整備

  • 定期的な匿名アンケートで組織の健康状態をチェック
  • 匿名で提案できるチャネル(Slackの匿名投稿機能など)を用意
  • 匿名フィードバックには必ず回答・対応を公開する

2. 称賛を「見える化」する仕組みをつくる

人は認められたいという根源的な欲求を持っています。しかし、日本の組織では「称賛」が圧倒的に足りていません。

「ありがとう」「助かりました」「すごいですね」——こうした言葉は、思っていても言葉にしないことが多いのではないでしょうか。

称賛が足りない組織では、メンバーは「自分の仕事は誰にも見られていない」「頑張っても意味がない」と感じてしまいます。これがエンゲージメント低下の大きな要因となります。

具体的な施策

ピアボーナス・称賛制度の導入

  • メンバー同士で感謝や称賛を送り合える仕組みを導入
  • 称賛はチーム全体に公開し、良い行動が可視化される状態をつくる
  • 月間MVPなど、特に貢献した人を表彰する制度を設ける

こうした称賛文化を手軽に実現するために、Seediaのようなサービスを活用する企業も増えています。日常的に感謝を送り合うことで、組織の空気は確実に変わっていきます。

称賛の「質」を高める

  • 「ありがとう」だけでなく「〇〇してくれて助かった。特に△△の部分が素晴らしかった」と具体的に伝える
  • 行動だけでなく、その人の存在自体に感謝を伝える機会も設ける
  • 称賛はできるだけリアルタイムで行う(後になるほど効果が薄れる)

経営者・マネージャーからの称賛を増やす

  • 上からの称賛は、ピア間の称賛よりも影響力が大きい
  • 週に一度は、各メンバーの良かった点を直接伝える時間を設ける
  • 全社ミーティングで、個人やチームの成果を具体的に称える

3. 情報の非対称性を解消する

組織が大きくなると、「あの人は知っているのに、自分は知らない」という情報格差が生まれます。この情報の非対称性は、不信感や疎外感の原因となり、組織風土を悪化させます。

「経営陣は何を考えているかわからない」「他の部署が何をやっているか見えない」——こうした声は、情報共有の仕組みが追いついていないサインです。

具体的な施策

透明性の高い情報共有基盤の構築

  • 会社の戦略、数字、意思決定プロセスを可能な限りオープンにする
  • 週次・月次で全社向けの情報共有ミーティングを開催
  • 経営陣の考えや悩みも含めて、率直に共有する

ドキュメント文化の醸成

  • 重要な決定事項は必ず文書化し、誰でもアクセスできる場所に保管
  • 会議の議事録を残し、参加できなかった人も追えるようにする
  • 「聞いてない」を減らすため、決定事項は複数チャネルで周知

部署間の壁を低くする

  • 他部署のメンバーとランダムに1on1をする「シャッフルランチ」の実施
  • 部署横断のプロジェクトや委員会を積極的に設ける
  • 各部署の業務内容や課題を紹介する「部署紹介」セッションの定期開催

4. 1on1を組織の基盤にする

エンゲージメントを高める上で、1on1ミーティングは最も効果的な施策の一つです。しかし、「やっているけど効果を感じない」という声も多く聞かれます。

効果が出ない1on1には、以下のような特徴があります:

  • 業務の進捗確認だけで終わっている
  • 上司が一方的に話している
  • 不定期で、優先度が低い扱いになっている

1on1の本質は、メンバーの話を「聴く」ことにあります。

具体的な施策

1on1の質を高めるフレームワーク

  • 「最近どう?」から始める(業務の話からスタートしない)
  • 7:3でメンバーが話す時間を多くする
  • 「何か困っていることはある?」「私にできることはある?」を必ず聞く

定期開催と記録の徹底

  • 最低でも隔週、できれば週1回の頻度を確保
  • 1on1の予定は最優先事項として、リスケは極力避ける
  • 話した内容は記録し、次回のフォローアップに活かす

キャリアについても話す

  • 目の前の業務だけでなく、中長期的なキャリアの話もする
  • メンバーの成長をサポートする姿勢を示す
  • 会社の方向性とメンバーの志向をすり合わせる

5. 離職の予兆を早期にキャッチする

離職率を下げるためには、「辞めたい」と言われてから対応するのでは遅すぎます。大切なのは、離職の予兆を早期にキャッチし、手を打つことです。

離職の予兆としては、以下のようなサインがあります:

  • 発言が減った、会議で意見を言わなくなった
  • 以前より仕事への熱意が感じられなくなった
  • 有給取得が増えた、勤怠が乱れ始めた
  • 他のメンバーとの交流が減った

具体的な施策

定期的なパルスサーベイの実施

  • 月1回程度、簡単なアンケートで組織の健康状態をチェック
  • エンゲージメントスコアの推移を追い、悪化傾向があれば早期に対応
  • 個人が特定されない形で、本音を引き出す設問設計を

マネージャーの「観察力」を高める

  • メンバーの変化に気づくためのトレーニングを実施
  • 「なんか元気ない?」と声をかける文化を醸成
  • 気になるメンバーがいたら、1on1の頻度を上げる

退職者へのヒアリングを活かす

  • 退職面談で率直なフィードバックをもらう
  • 退職理由を分析し、組織改善に活かす
  • 同じ理由での退職が続かないよう、構造的に対処する

5つのコミュニケーション設計5つのコミュニケーション設計

こんな方にぜひ取り組んでほしい

  • 急成長中のスタートアップで、組織の雰囲気の変化を感じている経営者
  • チームのエンゲージメントや心理的安全性に課題を感じているマネージャー
  • 優秀なメンバーの離職が続き、何とかしたいと考えている人事担当者
  • 「このままではいけない」と組織改革の必要性を感じているリーダー

組織の問題は、放置すればするほど悪化していきます。「まだ大丈夫」と思っているうちに、気づけば取り返しのつかない状態になっていることも。

今、この記事を読んで「うちの組織、当てはまるかも」と思った方は、小さなことからでも良いので、今日から行動を始めてみてください。

まとめ

まとめ:健全な組織風土を築くためにまとめ:健全な組織風土を築くために

スタートアップの成長痛——組織のギスギスは、急成長する過程で避けては通れない課題です。しかし、適切なコミュニケーション設計によって、この壁は必ず乗り越えられます。

本記事でお伝えした5つのポイントをおさらいします:

  1. 心理的安全性を構造的に担保する — 「言っても大丈夫」な環境を仕組みでつくる
  2. 称賛を見える化する — 感謝と認め合いを日常的に行える文化を醸成
  3. 情報の非対称性を解消する — 透明性の高い情報共有で信頼関係を築く
  4. 1on1を組織の基盤にする — メンバーの声に耳を傾け、寄り添う
  5. 離職の予兆を早期にキャッチする — 問題が大きくなる前に対処する

これらは一朝一夕で実現できるものではありません。しかし、一つひとつ着実に取り組むことで、組織風土は確実に変わっていきます。

まずは、今日の1on1で「最近どう?」と聞くことから。今日のSlackで「ありがとう」を一つ多く送ることから。小さな一歩が、大きな変化につながります。

あなたの組織が、メンバー全員がイキイキと働ける場所になることを願っています。

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