従業員エンゲージメントをKPIにするな!数値よりも見るべき「行動」とは

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従業員エンゲージメントをKPIにするな!数値よりも見るべき「行動」とは従業員エンゲージメントをKPIにするな!数値よりも見るべき「行動」とは

エンゲージメントスコアを追いかけても組織は変わらない

「従業員エンゲージメントスコアを上げろ」

人事部門やマネジメント層から、こんな指示が飛んでくることはないでしょうか。

多くの企業が従業員エンゲージメント調査を導入し、その数値をKPIとして設定しています。しかし、スコアを追いかければ追いかけるほど、組織の本質的な課題から目を背けることになってしまうケースが後を絶ちません。

エンゲージメントスコアが上がったのに離職率は改善しない。調査結果は良好なのに、現場からは不満の声が聞こえてくる。このような矛盾を抱えている企業は少なくありません。

なぜこのようなことが起きるのでしょうか。それは、エンゲージメントという「結果」をKPIにしてしまっているからです。本当に見るべきは、エンゲージメントを生み出す「行動」なのです。

数値目標が組織を歪めてしまう理由

エンゲージメントスコアをKPIにすることの問題点は、あなただけが感じているものではありません。多くの組織開発の専門家や、実際に現場で苦しんでいるマネージャーたちが同じ課題を抱えています。

「調査の時期になると、上司から『良い回答をしてほしい』という無言のプレッシャーを感じる」

「スコアを上げるためのイベントや施策が形骸化している」

「数値は改善しているはずなのに、チームの雰囲気は良くなっていない」

これらの声は、エンゲージメントを「測定する対象」として扱うことの限界を示しています。

心理的安全性の研究で知られるエイミー・エドモンドソン教授も指摘するように、組織の健全性は単純な数値では測れません。調査への回答は、その時の気分や、調査に対する期待、さらには回答後の影響への懸念など、様々な要因に左右されます。

数値を追いかけることで、本来の目的である「従業員が生き生きと働ける環境づくり」が二の次になってしまう。これこそが、エンゲージメントKPIの最大の落とし穴なのです。

数値ではなく「行動」を見ることで組織は変わる

では、エンゲージメントスコアの代わりに何を見ればよいのでしょうか。

答えは「行動」です。

組織の健全性を示す行動には、明確なパターンがあります。これらの行動を観察し、促進することで、結果としてエンゲージメントは自然と高まっていきます。

本記事では、エンゲージメントを生み出す具体的な行動パターンと、それを組織に根付かせるための実践的な方法をお伝えします。数値に振り回されることなく、本質的な組織づくりを実現するためのヒントを得ていただければ幸いです。

行動を観察することで組織の本質が見える行動を観察することで組織の本質が見える

エンゲージメントを生み出す3つの行動パターン

心理的安全性が生まれる「発言行動」

組織風土を最も如実に表すのは、メンバーがどれだけ自由に発言できているかという点です。

心理的安全性が高いチームでは、以下のような発言行動が自然に見られます。

観察すべき行動:

  • 会議で若手やベテランを問わず、疑問や異論が出される
  • 「わからない」「助けてほしい」という声が気軽に上がる
  • 失敗やミスが隠されずに共有される
  • 新しいアイデアが否定されずに検討される

これらの行動が見られないチームでは、いくらエンゲージメント調査の数値が高くても、実態として健全な組織とは言えません。

心理的安全性を測るのに複雑な調査は必要ありません。「最近のミーティングで、誰かが反対意見を言ったか」「新人が質問しやすい雰囲気があるか」を観察するだけで、チームの状態は見えてきます。

行動を促進するためのヒント:

  • リーダー自身が「わからない」「間違っていた」と言う
  • 質問や異論に対して、まず感謝を示す
  • 失敗事例を学びの機会として共有する場を設ける

組織風土を強くする「称賛行動」

称賛は単なる「褒める」行為ではありません。組織において称賛が適切に行われているかどうかは、その組織風土の健全性を示す重要な指標です。

健全な組織では、以下のような称賛行動が見られます。

観察すべき行動:

  • 成果だけでなく、プロセスや努力に対しても認知がある
  • 上司から部下だけでなく、同僚間や部下から上司への称賛もある
  • 公の場だけでなく、日常的な場面でも自然に感謝が伝えられる
  • 称賛が具体的で、何が良かったのかが明確

一方で、形式的な表彰制度があるだけで日常的な称賛がない組織や、成果のみが評価される組織では、メンバーは「認められている」という実感を持ちにくくなります。

称賛文化を根付かせるためには、仕組みづくりも重要です。例えば、Seediaのような称賛・感謝を可視化するツールを活用することで、称賛行動を組織全体で促進し、定着させることができます。

行動を促進するためのヒント:

  • 週次ミーティングで「今週助けられたこと」を共有する時間を設ける
  • 称賛の内容を具体的にする(「すごい」ではなく「〇〇の工夫が素晴らしかった」)
  • 経営層やマネージャーが率先して称賛を実践する

離職率を下げる「相互支援行動」

離職率の高さは、組織の健全性を示す重要なシグナルです。しかし、離職率という結果だけを見ていても、根本的な改善にはつながりません。

離職を防ぐ組織では、メンバー同士の相互支援行動が活発に行われています。

観察すべき行動:

  • 困っているメンバーに自発的に声をかける人がいる
  • 業務の偏りを見て、自ら手を挙げてサポートする
  • 新しいメンバーに対して、複数の人が気にかけている
  • チームの目標達成のために、自分の役割を超えて動く

これらの行動が見られる組織では、メンバーは「ここに居場所がある」「仲間がいる」と感じることができます。この帰属意識こそが、離職を防ぐ最大の要因なのです。

行動を促進するためのヒント:

  • 助け合いの事例を可視化し、チームで共有する
  • 「助けを求める」ことを推奨する文化をつくる
  • 部門を超えた交流の機会を意図的に設ける

3つの行動パターンで組織を変える3つの行動パターンで組織を変える

行動を観察・促進するための実践ステップ

ステップ1:現状の行動を観察する

まずは1週間、チームの行動を意識的に観察してみましょう。

以下のような観点でメモを取ることをお勧めします。

  • 会議で誰がどのような発言をしているか
  • 感謝や称賛の言葉がどれくらい聞こえてくるか
  • 困っている人に対して、どのような反応があるか
  • 新しいアイデアに対して、どのような反応があるか

この観察を通じて、チームの現状が見えてきます。数値調査では見えない、生の組織の姿がそこにあります。

ステップ2:小さな行動変容から始める

組織を一気に変えようとすると、必ず抵抗が生まれます。まずは自分自身の行動を変えることから始めましょう。

今日からできる行動:

  • 会議の冒頭で「今週、誰かに助けられたこと」を一つ共有する
  • メンバーの良い行動を見たら、その場で具体的に伝える
  • 自分から「わからないので教えてほしい」と言ってみる

リーダーやマネージャーがこれらの行動を率先して行うことで、チーム全体に波及していきます。

ステップ3:行動を仕組み化する

良い行動が自然に生まれる仕組みをつくることも重要です。

仕組み化のアイデア:

  • 週次のチームミーティングに「称賛タイム」を設ける
  • 1on1で「最近助けられたこと」「困っていること」を必ず聞く
  • チームのSlackやチャットに「感謝チャンネル」を作る
  • 月次で「行動の振り返り」を行う

仕組みをつくる際に注意したいのは、形骸化させないことです。「やらされ感」が出てしまうと、かえって逆効果になります。

仕組みを運用する際は、なぜこの行動が大切なのかを繰り返し伝え、自発的な参加を促すことが重要です。

ステップ4:行動の変化を可視化する

行動の変化は、エンゲージメントスコアのように数値化しにくいものです。しかし、変化を可視化することで、チームのモチベーションを維持することができます。

可視化の方法:

  • 称賛や感謝の言葉がどれくらい増えたかをカウントする
  • 1on1で「チームの雰囲気の変化」について聞く
  • 定性的なフィードバックを集めて共有する

定量的な指標にこだわりすぎず、「チームの空気が変わった」「会議が活発になった」といった定性的な変化を大切にしましょう。

こんな組織・チームにこそ行動アプローチがおすすめ

以下のような状況にある組織やチームには、特に行動に着目したアプローチが効果的です。

  • エンゲージメント調査を実施しているが、結果が改善につながっていない
  • 離職率が高く、その原因がはっきりしない
  • 組織風土を変えたいが、何から始めればよいかわからない
  • 心理的安全性を高めたいが、具体的な方法がわからない
  • マネージャーとして、チームをより良くしたいと考えている

数値を追いかけることに疲れた方こそ、行動に着目することで新しい突破口が見つかるはずです。

組織の変化は一朝一夕には起きません。しかし、日々の小さな行動の積み重ねが、やがて大きな組織風土の変化を生み出します。

今すぐできることから始めてみませんか。

まとめ:数値から行動へ、視点を変えよう

行動を見ることで本質的な組織づくりを実現する行動を見ることで本質的な組織づくりを実現する

従業員エンゲージメントをKPIとして追いかけることの限界と、代わりに「行動」を見ることの重要性についてお伝えしてきました。

本記事のポイント:

  1. エンゲージメントスコアをKPIにする危険性

    • 数値を追いかけることで本質から目を背けてしまう
    • 調査結果は様々な要因に左右され、実態を反映しないことがある
  2. 観察すべき3つの行動パターン

    • 心理的安全性を示す「発言行動」
    • 組織風土を強くする「称賛行動」
    • 離職率を下げる「相互支援行動」
  3. 行動を促進するための実践ステップ

    • 現状の観察から始める
    • 小さな行動変容を積み重ねる
    • 仕組み化で定着させる
    • 変化を可視化してモチベーションを維持する

エンゲージメントは結果であり、目標ではありません。日々の行動の積み重ねによって、自然と高まっていくものです。

まずは今日から、チームの行動を観察することから始めてみてください。そして、あなた自身が良い行動の模範となることで、チーム全体の変化を促していきましょう。

称賛や感謝を可視化し、組織全体で行動変容を促進したい方は、Seediaの活用もぜひご検討ください。従業員同士の称賛を促進し、心理的安全性の高い組織風土づくりをサポートします。

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