「最近どう?」はNGワード。部下が話しやすくなる1on1の入り方
1on1で「最近どう?」と聞いていませんか?
「最近どう?」
1on1ミーティングの冒頭で、あなたはこのフレーズを使っていないでしょうか。
リモートワークやテレワークが定着した今、多くの企業でマネージャーと部下の1on1が導入されています。オフィスで顔を合わせる機会が減った分、定期的に対話の時間を確保すること自体は素晴らしい取り組みです。
しかし問題は、その「入り方」にあります。
「最近どう?」という問いかけは、一見フレンドリーに聞こえますが、実は部下にとっては最も答えにくい質問の一つです。何を聞かれているのかわからない。どこまで話していいのかわからない。結果として返ってくるのは、「まあ、ぼちぼちですね」という当たり障りのない一言——。
こんな経験に心当たりはありませんか?
- 1on1が業務進捗の確認だけで終わってしまう
- 部下が本音を話してくれている気がしない
- リモートワークになってから、部下の状態が見えにくくなった
- 雑談を入れようとしても会話が続かない
- 1on1の時間がお互いに苦痛になっている
これらはすべて、コミュニケーション不足のサインです。そして、その根本原因は1on1の「入り方」にあることが少なくありません。
あなただけではない——1on1が「形骸化」する構造的な理由
「1on1がうまくいかないのは、自分のマネジメント力が足りないからだ」——。
そう自分を責めている方もいるかもしれません。しかし、実はこの問題は個人のスキル不足ではなく、リモートワーク環境における構造的な課題です。
オフィス勤務時代を思い出してみてください。1on1の前後には、廊下での立ち話やエレベーターでの何気ない会話がありました。ランチを一緒に食べることもあったでしょう。こうした雑談の積み重ねが、1on1での深い対話を支える土台になっていたのです。
テレワーク環境では、この土台が完全に失われています。「会議が始まったら話す、終わったら切る」——。コミュニケーションがすべてオン・オフのスイッチになり、雑談が入り込む余白がありません。
Gallup社の調査によると、マネージャーとの1on1に意味を感じている従業員は全体のわずか15%にとどまります。特にリモートワーク環境下では、1on1が単なる「義務的な進捗報告の場」と化し、コミュニケーション不足を解消するどころか、むしろ形式的なやり取りを強化してしまうケースが多いのです。
つまり、1on1の質を高めるには、テクニック以前に**「入り方」のデザイン**を変える必要があります。
「最近どう?」がNGな理由と、代わりに使うべき問いかけ
1on1の入り方を変える
なぜ「最近どう?」がNGなのか。理由は3つあります。
1. 質問の範囲が広すぎる
「最近」はいつのことか。「どう」は何についてか。部下は瞬時に「何を答えればいいのか」を判断しなければなりません。リモートワーク環境では表情や雰囲気から上司の意図を読み取ることも難しく、結果として無難な回答を選びがちです。
2. 毎回同じ質問は「儀式化」する
毎週の1on1で同じ「最近どう?」を繰り返すと、部下の脳は「これは本気の質問ではない」と学習します。挨拶の一部として処理され、深く考えることなく定型の返答が返ってきます。
3. 上下関係を無意識に強調する
「最近どう?」は、上司から部下への一方向の問いかけです。部下は「報告する側」になり、対等な対話ではなく評価される場のように感じてしまいます。テレワーク環境では、画面越しの上下関係がより強調されやすい傾向があります。
では、どう入ればいいのか。ここからは、1on1の冒頭で部下が話しやすくなる具体的な問いかけを紹介します。
明日から使える——1on1の「入り方」5つのパターン
パターン1:自分から先に開示する
部下に話してもらいたいなら、まず自分から話す。 これが1on1の入り方で最も効果的な原則です。
心理学で「自己開示の返報性」と呼ばれる現象があります。一方が自分のことを話すと、もう一方も同じレベルで自分のことを話しやすくなるのです。
具体的にはこんな入り方です。
「今週、自分が担当してたプレゼン資料が全然まとまらなくて焦ったんだけど、最終的に〇〇さんに壁打ちしてもらったら一気に整理できたんだよね。最近、誰かに助けてもらったこととかある?」
ポイントは、自分の弱さや失敗を含めて開示すること。完璧な上司像を演じる必要はありません。むしろ、上司の「人間らしさ」が見えたとき、部下は安心して本音を話し始めます。
パターン2:具体的な観察から入る
「最近どう?」の対極にあるのが、具体的な事実に基づいた問いかけです。
「先週の〇〇プロジェクトの資料、構成がすごくわかりやすかったんだけど、あの切り口はどうやって思いついたの?」
「この前のチームMTGで、△△の件について発言してくれたの良かったよ。あのとき、他にも思ってたことあった?」
この入り方には2つの効果があります。
- 「ちゃんと見てもらえている」という実感:リモートワーク環境では、自分の仕事が上司にどう映っているのか見えにくい。具体的な観察を伝えることで、部下の承認欲求が満たされる
- 「YES」から始まる会話:ポジティブな事実の確認から入ることで、部下は肯定的な気持ちで対話を始められる
パターン3:選択式の問いかけにする
オープンクエスチョンが苦手な部下には、選択肢を提示する方法が有効です。
「今週は、仕事の進め方で困ってることと、チーム内の人間関係で気になってること、どっちかある? どっちもなければ全然OKだけど」
「最近の仕事、楽しさで言うと10点満点中何点くらい?」
範囲を絞ることで回答のハードルが下がり、テレワーク環境で表情が読みにくい中でも、部下の状態を具体的に把握しやすくなります。
パターン4:「変化」にフォーカスする
人は「状態」よりも「変化」について語るほうが得意です。
「前回話してくれた〇〇の件、その後どうなった?」
「先月と比べて、仕事の負荷感って変わった?」
「最近、チームの雰囲気で何か変わったなって感じることある?」
前回の1on1の内容を踏まえた問いかけは、「この人は自分の話をちゃんと覚えてくれている」というメッセージにもなります。コミュニケーション不足を感じている部下にとって、これは非常に大きな安心材料です。
パターン5:雑談を「仕組み」として組み込む
1on1の冒頭5分間を、業務とは完全に無関係な雑談の時間として固定する方法です。
「最初の5分は仕事の話なし! 最近見た映画とか、ハマってるものとか、なんでもいいから教えて」
「今日のアイスブレイク——もし明日から1週間休みだったら何する?」
リモートワーク環境では、1on1が唯一の直接対話の機会になっているケースが多くあります。だからこそ、その貴重な時間の一部をあえて雑談に使うことが、長期的な信頼関係の構築につながるのです。
雑談の時間は「非効率」ではありません。コミュニケーション不足を予防する最もコストパフォーマンスの高い投資です。
1on1の入り方5つのパターン
こんな方にこそ、1on1の「入り方」を見直してほしい
- リモートワークやテレワーク中心のチームを率いている
- 1on1が進捗確認の場になってしまい、部下の本音が聞けていないと感じる
- 部下との雑談が減り、コミュニケーション不足が気になっている
- 新しくマネージャーになり、1on1のやり方に自信がない
- 1on1の時間をもっと有意義にしたいと考えている
1on1の「入り方」を変えるのに、大がかりな仕組みづくりは必要ありません。明日の1on1から、質問を一つ変えるだけでいい。それだけで、部下の反応は驚くほど変わるはずです。
ただし、1on1の質を上げても、日常的な雑談の接点がなければ信頼関係の構築には限界があります。テレワーク環境で、1on1以外にも自然なコミュニケーションの場をつくりたいなら、Seediaのような、業務と雑談を適度に切り分けられるプラットフォームを活用するのも一つの手です。
まとめ
1on1の入り方まとめ
リモートワークやテレワークが当たり前になった今、1on1はマネージャーと部下をつなぐ最も重要な接点です。しかし、その入り口で「最近どう?」という曖昧な問いかけを繰り返していては、コミュニケーション不足は解消されません。
この記事のポイントを振り返りましょう。
- 「最近どう?」はNGワード — 範囲が広すぎ、儀式化しやすく、上下関係を強調してしまう
- まず自分から開示する — 自己開示の返報性を活用し、部下が話しやすい空気をつくる
- 具体的な観察から入る — 「ちゃんと見てもらえている」実感が心理的安全性を高める
- 選択式・変化にフォーカスした問いかけ — 回答のハードルを下げ、テレワーク環境でも状態を把握しやすくする
- 雑談を仕組みとして組み込む — 1on1の冒頭5分を業務外の雑談に充てることが、長期的な信頼関係を支える
1on1の「入り方」を変えるのは、今日からできます。次の1on1で、「最近どう?」の代わりに一つだけ具体的な問いかけを用意してみてください。部下の表情が変わる瞬間を、きっと実感できるはずです。